ルビと圏点とウィドウ

ルビ処理

行の組方でも説明したが、ルビにはモノルビとグループルビの二種類ある。特にグループルビは作品・著者によっては極めて多用せられることが多いであろう。基本的に既定の設定値による組版で大体問題ないが、ルビに英字を用ゆる際は注意が必要となる。

モノルビ

モノルビを組む場合、親文字を選択してルビ設定ダイアログからルビを組む。揃えは「肩付き」「中付き」のどちらでも良いが、不統一にならぬ様にする。ルビの区切りは半角スペースを挿入する。

モノルビの設定
モノルビの設定

グループルビ

グループルビも親文字全体を選択して、ルビを組む。原則として、揃えは既定値たる「JIS 1-2-1 ルール」で問題ない。ただし、ルビ部分が英字である場合、揃えは「中付き」にする。英字では単語の区切りでない限り各文字にスペースが挿入されてはいけない決まりであるが、「JIS 1-2-1 ルール」であると各文字の間にスペースが入ってしまい、前述の決まりに反する。

ルビが英字で揃えを「中付き」にした場合
ルビが英字で揃えを「中付き」にした場合
ルビが英字で揃えを既定値である「JIS 1-2-1 ルール」にした場合
ルビが英字で揃えを既定値である「JIS 1-2-1 ルール」にした場合

ルビの中黒字形の不具合

一部のフォントでは、ルビの中黒字形に不具合が確認されて居るので注意されたい。以下の図では「小塚明朝 Pro」「小塚明朝 Pr6」「リュウミン」「ヒラギノ明朝体 Pro」における、ルビの中黒字形を比較する。リュウミン以外では中黒が大きくなって居り、不適切な字形になって居ることがわかる。

各フォントにおけるルビの中黒字形
各フォントにおけるルビの中黒字形

解決策としては他サイトの「ルビの中黒\_とりあえずの解決策」を参照されたい。

傍点処理

傍点処理の注意点としては、「ゴマ」を選ぶこと。「黒丸」「小さい黒丸」は横組み用なので選ばない。

ウィドウ処理

和文組版であれば、ウィドウ(ここでは段落の最終文が頁始めに孤立する意味として扱う)に神経質になる必要はない。現に多くの商業小説ではそのままにされて居る様である(単にコスト・時間の都合か?)。ただ、それでも偶数頁始めに「る。」などが残るのは体裁が悪い。特に章末や作品の最終頁がそれで終って居る場合はウィドウ処理を実施したい。尚、ウィドウ処理は校正が充分に終って、これ以上文字の増減がない状態で実施すること。

ウィドウ処理では文字を追込んで処理する方法と字間を延ばす方法の二つが考えられる。

文字の追込み処理では、始めにウィドウ発生段落において詰められる箇所があるかどうかを探す。詰める箇所の優先順位は、句読点と始め括弧類などの約物が連続して居る箇所、次に約物が単独で存在したる箇所、そして、最後が仮名である。該当段落で処理に適した箇所がない場合は、それより前の段落(ウィドウに該当しない)で、最終行が「る。」などで終って居る段落を探し、同様に詰められる箇所があるかどうかを探す。該当箇所が見つかったら、優先順位に基づいて文字ツメを実施し、最終行を追込む。約物の前後のアキを詰めるとき、ベタにまで詰めるのはなるべく避ける。仮名を詰める際もなるべく調整量は少なめにする(仮名の仮想ボディが大きいフォントではこの行為自体避けたい)。ぶら下がり組であれば、一文字分追込めば、ウィドウ処理は終了である。

ウィドウ発生段落に、約物がないなどツメに適した箇所がない或いはその段落から遠くの段落でしかツメ処理ができないのであれば、発生段落で字間を延ばすことでウィドウを処理する。字間の延ばし処理によって、最終行にある程度の字数を追出すのである。追出しとは言っても、字詰に左右されるが文庫判の40字詰でも二、三文字が限度であろう。

また、同人誌だからこそ(正確には著者が組版までも行わざるを得ない環境だからこそ)できる技として、テキストの改変がある。テキストを増やすなり、減らすなりすれば、ウィドウが簡単に廻避できる。勿論、合同誌などで他人様の作品のテキストを改変をしてウィドウを廻避するのは厳禁である。

ウィドウ処理によって全体の行が移動するのであるから、それによって新たなウィドウが発生しうることには留意したい。途中頁のウィドウを処理する場合は延ばし処理で、最終頁は延ばし処理か追込み処理かの使分けが良いだろう。いっそのこと途中頁のウィドウは無視し、最終頁のウィドウのみに注力するのも手である。

尚、ウィドウが廻避できないからと言って、直前の頁の行間を詰めてまでして、当該行を追込む処理は絶対にしない。この行為は可読性を考慮して設計した基本版面を根本から破壊するものである。