中扉の組方
中扉は同人誌であっても書籍であってもコンテンツの大きな区切りを示すためのものであるから、その組方が拙ければ読者に対してコンテンツの区切りが示せずに漫然とした誌面になること。
この中扉の組方は判型に応じて、いや同人誌の性格において大きく異なる。文庫判や新書判では作者一人の作品しか載らないのであれば教科書通りに基本に忠実に組む。一方、A5判において特に異なる作家の作品が載せられる合同誌(文藝誌)であれば、扉の組方は必ずしも教科書通りになされないこともある。
文庫判や新書判における組方
この判型では基本に忠実に組んでいく。
中扉(半扉)は表に標題を掲げて、改丁とし裏白とする。扉絵を入れる場合もある。中扉は奇数ページに置く。前の文章が奇数ページで終って扉を立てる場合は扉の前のページ(偶数ページ)は白ページとする。中扉のノンブルは省略することが専らであるが、ノンブルは省略するだけであって当然ページ数には数える。
書体の選定
小説なので見出しに適した太明朝体を選ぶ。
文字サイズ
中扉に掲げる標題は、判型の大きさや本文文字および見出しの大きさに左右されるが、本文中の大見出しより大きいフォントサイズにすると良い。標題の組方向は本文に従う場合が多いが、従わない場合もある。
位置
「左右中央」「小口寄せ」の二つが考えられる。標題の組方向が縦組の場合、字下がりは基本版面の天より、本文文字の4~5字下げるのが適切である。横組では基本版面の天より4~5行下げる。ただし、これも判型の大きさによる。大きな判型であるほど、下げる量は心なしか多めにする。ただし、標題を天地中央に置くとやや下がり気味に見えるので注意する。また、小口寄せの場合では基本版面の小口より本文文字の2~3字分のアキを取る。
字割
本文中の見出しと同じ方針か、やや空け気味で割るようにする。字割については次の「見出しの組方」で詳述する。
合同誌における中扉
この判型の大きさを生かして、タイポグラフィを意識された見出しを組む。
この判型では中扉(半扉)は奇数ページにも、偶数ページにも置かれることがある。必ず偶数ページに置いて見開きでその作品が始まる様に構成される場合もあるし、もちろん文庫判の様に必ず奇数ページで始める場合もある。
書体の選定
明朝体を選べば問題ないが、作品の内容によってはゴシック体やデザイン系の書体を選ぶこともある。
文字サイズ
区切りであることを明示せしめるため、本文文字サイズに対して3倍ないし5倍程度の文字サイズを採用することもある。組方向も作品ごとに異なることも多い。
位置
扉絵が置かれることもあるから、扉絵を意識した配置(人物などに掛からない様に)が求められる。偶数ページに扉が置かれて扉絵もある場合は、見開きで最初に読者の目に飛び込む様に小口側に寄せることも多い。
字割
文藝誌では字割りをせず、プロポーショナル組みされる場合もある。