本文における見出しの組方

見出しの多寡は作品によって大きく異なり、多用する人も居れば、長編であってもほとんど用いない人も居る。見出しは内容の区切りを読者に示すためのものであるから適切な組方が必要である。

見出しの組方や書式は同人誌内では統一する。

見出しの構成

教科書通りに述べてしまえば、見出しはラベルと見出し文字列と副題(サブタイトルとも)とから成る。ラベルと副題とは必須ではなく、本の内容によっては省略されることもある。

ラベルと見出しのアキは、縦組では見出し文字列の全角くらいがちょうどよい。

副題の文字サイズは見出しの三分の二くらいにし、行間は副題の文字サイズの半角程度にする。

また、副題を見出しと別行にする場合、縦組では見出しの先頭から見出し文字列の全角か2倍だけ字下げする。同行にする場合、アキはベタとする。また、副題の前後に二倍ダーシをつけることが多いが、凝った装飾を施すものも見受けられる。

一つの見出しはその見出し単位で扱って、段やページで分割して配置してはいけない。行取り数や見出し前後のアキ(段落前のアキ、段落後のアキ)の指定があるときも、これらを一体として扱う。

階層

小説の本文中に使われる見出しの階層は一階層(節のみ)か二階層(章節)程度である。三階層(部章節)となると、部の見出しは中扉の標題にすることが多い。

書体の選定

小説の見出しは明朝体で組まれることが多いが、本文の内容が砕けたものであればポップ系の書体でも構わない。

見出しを階層的にする場合は使用するフォントのファミリーは統一して、大きな見出しほどウェイトが大きいものを用いる。別々のフォントを使うと統一感が損なわれる要因になる。

文字サイズ

本文の文字サイズより1ポイント(1~2級)より大きいものから出発し、順々に2~4ポイント(3~5級)づつ大きくしていく。判型が小さめであれば、文字サイズの増やし方はなるべく少なめにする。

揃えと字下げ

見出しは行頭から何文字か字下げする。縦組において、見出しは大きいものから順次字下げをしていくことが多い。例えば、大見出しが本文文字の3字下げなら、中見出しは5字下げ、小見出しは7字下げといった具合であり、2文字あるいは1文字づつ字下げする量を増やしていく。

行取り

見出しの文字サイズが大きくなれば、本文と同じ行には収まらない。何行分かのスペースをとるようになる。これを行取りと言って整数倍を取る。また、サブタイトルがある場合は当然、単独の見出しよりは行取りを多く取る。

整数倍でないと、それに続く本文の行位置がずれしまい、段末やページ末が揃わなくなり、体裁が非常に悪くなってしまう。この行取りの設定を誤ってしまい、行位置がずれてしまったものを見かける。この行取りは小見出しが2行取り、中見出しが3行取り、大見出しが4行取りといったように見出しが大きな見出しであるほど増やしていく。

見出しの字割

見出し文字列は文字数によってその長さは当然違ってくる。2文字の見出し文字列と6文字のものを並べると、不釣合いな印象を受ける。これを解消するために、見出しの文字の間にスペースを適当に挿入することが行われる。これを見出しの字割と言う。

字割に明確な基準はないが、字数に応じて統一をとる。主に判型や段組などによって左右される。以下に例を掲げる。同じ判型でも段組にして字詰を少なくすれば、字割りによるアキは詰める。

字割の一例
判型/段組2字3字4字5字6字7字以上
文庫判/1段組二倍アキ二分四分アキ四分アキベタベタベタ
文庫判/1段組二倍半アキ全角アキ二分アキ四分アキ八分アキベタ
新書判/1段組三倍アキ全角四分アキ二分四分アキ二分アキ四分アキ八分アキ(8字以上はベタ)
新書判/2段組二倍アキ二分四分アキ四分アキベタベタベタ
A5判/1段組三倍アキ全角四分アキ二分四分アキ二分アキ四分アキ八分アキ(8字以上はベタ)
A5判/2段組二倍アキ二分四分アキ四分アキベタベタベタ

見出しの泣き別れ

見出しの泣き別れとは、見出しがページ末や段末などに来てしまってそれに続く本文が次ページや次段から始まることである。見出しと本文は一体であるから、この泣き別れは防ぐ。

泣き別れが起きたら見出しをそのまま次ページや次段に追い出す措置を取る。追い出した分だけ空白ができるが問題はない。

例外として、縦組の一段組(通し組)においては偶数ページ末に来た見出しを残す。見出しがページ末でも次のページの本文がそのまま続いているように見えるからである。追い出すとノドに空白ができ、かえって不自然に見えてしまう。ただし、ページ末の空白が2行で見出しの行取りが3行といった場合は追い出すしかない。また、連続する見出しが見開きに跨るようであれば、これも泣き別れとして追い出しを行う。

それ以外の場合では容赦なく追い出すこと。しかし、文庫判では収納効率を高くしたいという理由から、泣き別れの処理をしない場合もある。

見出しが冒頭に来ない場合

見出しを中扉・半扉に標題として掲げて、続く本文の冒頭に見出しが来ない場合は、本文の始まりを数行空ける。一般書籍であれば2~3行が多いが、小説なら4~5行は空ける(版面の半ば近くまで空けている小説も見かける)。これは本文の始まりを数行空けることを以て明示するためである。